この話で、成美が想像していると思っていたくますけというぬいぐるみが、最終的に本当に生きて行動しているもののように描かれている。そこは恐怖感を感じさせられる部分だが、なぜかあっさり読み進めてしまってそんな恐怖は感じなかった。どちらかというと、成美自身が夢の中で、両親の悪霊?に恐怖を感じていたシーンの方が怖かった。僕は、夢の中と限定されていた方が無限に恐怖がわき上がって恐怖が増すと思う。現実といわれれば、小説であっても恐怖は有限のものに感じる。
 新井素子の作品は初めて読むが、なんだか違和感のある文章の書き方だと感じた。読みにくいとは思わなかったけど。