文学研究会の後輩がこの本を研究対象とすると聞いて、この本を読んでみた。第一篇の小人国・第二篇の巨人国の話は、ガリヴァと聞いて容易に連想できる話で、童話のような印象を持っていたが、実際に読んでみると風刺文学と呼ばれる通り、実際の世の中(当時の英国)と結びついたような記述にあふれていた。そして、露骨に実際の世の中を描いている事が、面白いとも思えたし、味気ないという感じもした。
 第三篇の浮島の話は、他の部分と比較して面白味に欠けているような気がする。ズバズバと切っていくような風刺表現も他の篇と比べて面白みに欠けていたと感じた。第四篇の馬が主人で人間が家畜になっている話は、非常に風刺が冴えていて面白く感じられた。
 最後に、この本の主人公は航海好きの海の男なのだが、デフォーのロビンソンクルーソーにしてもそうだが、海の男が一度航海で苦しい目にあっても、何度も航海に旅立とうとする(と描かれている)のはどうしてなんだろう。ま、海の男は実際にそういうものなのかもしれないけど。