シェイクスピアの伝記物語ではないが、はっきりとわかっていないシェイクスピアの劇場人としての人生を描く。その手法が、資料に基づく推測といった感じの試みで、嘘と言えばそれで終わりなのだけど、ある程度本当ではないかと感じさせるような作りにはなっていた。シェイクスピアや演劇に関して僕は全くの素人なので、その事実が嘘か本当かは想像もできないし議論にも参加できない。けど、資料に基づいて一人の偉大な人物を回想してみるという試みは面白く関心を持つことができた。
 この本の中で「シェイク・シーン」=「舞台を震撼させることができる者」といったようなことが出てきたが、シェイクスピアとはそういった意味のペンネームなのかと思いきや、ロバート・グリーンによるシェイクスピアを皮肉った批判だというのが面白かった。
 この本ではシェイクスピア以外にも、マーロウについて良く触れられていた。シェイクスピアといった人物を知ろうと思うとその周りにいた多くの人をも知らなければならない、当たり前のことを再考してみた。