エレンディラ
文学研究会の後輩が好きだという「ガルシア=マルケス」というのを読んでみようと思って買ってみた。読んでみたところ、意味は分からないけど面白かったと思う。幻想小説と言うよりは童話といった方ような感じの作品群が並んでいたが、幻想的という言葉がとても似合う小説集だと思う。
「大きな翼のある、ひどく年取った男」…天使という幻想小説にはありがちなものが現れたが、その扱い方が見せ物といった感じのひどい扱い方だったのは、のっけから意表を突かれた。
「奇跡の行商人、善人のブラカマン」…行商人が主人公に対して拷問のようなものを繰り返し、その中で奇跡を得て、主人公は皆に善行を行う。という所までは、普通なのだが、その後墓の下に行商人を埋葬した後、地面の中で行商人を生き返らせて、地面の中で生きるの苦痛を味わせ続けるという発想は悲惨で、主人公を善人と思えなくするものだった。
「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」…この短編集では一番長い話で、エレンディラという少女が、祖母に虐げられて、最後にはウリセスという青年の力を利用して祖母から逃げる、というのがあらすじ。物語というものはどうしてもだろうが、結末が印象に残る。さいごはエレンディラは祖母から無事(?)に逃げることができるが、ウリセスを踏み台にしているような感じで、今まで与え続けられてきたエレンディラの災難よりも、見捨てられたウリセスの哀れが強調されたような気がした。
このほかにはいくつか短編があり、ほかの作品も印象的なものばかりであったが、この3つが特に印象深かった。マルケスの有名な作品には「百年の孤独」があるらしいが、僕は全く知らない。この作品も機会があれば読んでみようと思う。