読み終わってまず思ったのが、すべてが夢だったというような感じを受けたことだ。なにも夢落ちの話じゃないけれど、ファンタジー小説正にそのものといった幻想さがあった。
 この小説の締めくくりとして、「循環でない世界」が始まるということがあったが、その世界が見えているということに、運命が決まっているといった寂しさを感じた。それと、「女性自立」(ゲルダ一人での進む道)という問題についていけない男性スヴェンを見るについて、僕は正直どんなに好きな人でもその人の好きな道を素直に応援できるか、自分の夢を捨てられるか、といった問いに答えを出せないし、出したくなく思える。