ゲーテの自叙伝というもので、今までゲーテは小説・詩・戯曲しか読まなかったが、ここで初めて随筆のような物にふれることができて、初めて生でゲーテの主張を聞いたような気がする。
 この本を読んでみて、ゲーテ自身が自分を結構優秀な奴だと自負していたのがわかって面白かった。実際には自分が賢いと考えている奴は多いだろうが、ここまで本の形にされて堂々と言われると気持ちが良い。それから、五章で出てきたグレートヒェンだが、今まで読んだいろいろなゲーテの著作のあとがきなどで見かけて、ちょっと気になっていたがここでその疑問・好奇心も少しはれたような気がした。ゲーテがグレートヒェンに好感を持って、グレートヒェンと会うことを楽しみにすると言った至って当然の感情は非常に親しめた。
 この「詩と真実」を読んでみると、自分でも自叙伝を書いてみようかと言った気分になったが、自分の自叙伝を書くのはまだつらいと思う。グレートヒェンのような人が居たという過去もないから。