フェルハーン大神殿のあたりだけが舞台となったこの巻だった。今までが、冒険中心だったので、この巻の展開には今までとちがう違和感のようなものを感じた。町の中が舞台のファンタジー小説というと、シティーアドベンチャーかなといった感じもするが、ウルト・ヒケウという術者の登場や、イルダーナフが大神官であるという事実が明らかになるなど、伏線が明らかになって物語のクライマックスへの準備と言った感じを受けた。しかし、準備と言っても事務的で面白味に欠けると言った感じはなく、ウルト・ヒケウの登場シーンは奇抜で面白かった。イルダーナフの正体が明らかになるシーンはもう一ひねり欲しかったかなぁという感じがした。