あとがきに「一人でも多くの人々が、劇場に向かう契機になってくれれば、著者としては本望である。」とあるが正にその通りだろう。この本では、つかこうへい・野田秀樹・鴻上尚史、それから、劇団青い鳥・自転車キンクリート・遊◎機械/全自動シアター・善人会議とか。いろんな演劇について論じられてはいるし、その多くの記述から僕は擬似的に演劇にふれることもできた。しかし著者が言いたいのは要するに「私(著者)は、演劇が大好きだ」ということなんだろう。どの本を読んでもこういうことは言えることなんだろうと思うけど、なんだか強くこの本にはその意志を感じたように思う。
 演劇に多くの歴史があるであろう事は想像はしていたけれどこうして「つか以後」という短い期間にすら端折ってもこんなにいろいろな流れがあったんだと思った。しかし、僕は未だに劇場に出かけようといった風にはならない。肩の凝らない演劇について延々論じられていたのに、深く考え・勉強しようとし過ぎるのだろうか、僕にとってはなぜか肩の凝る仕事だった。もっと気楽に生きてみればいいのにとは思うけど。