当たり前のことだが、何かを製造する上で品質管理というものは大切なこと。
しかしながら、昨今のさまざまな事故を見ていると
品質管理がおろそかになっているのではないかなと感じることが多い。


・エレベータや回転扉の事故
・鉄道工事や運行の事故
・金融システムのトラブル
など、様々な問題が例として上げられる。


マスメディアは、モラルハザードという言葉を使って、
経営者や製造にかかわった技術者たちを叩くことを好む。
顧客のこと(時には生命)よりも、
株主や企業の利益を優先した結果であると。
稀に、技術者のモラルの問題だという論調も耳にする。


ところで、何かを製造する上では、
コスト(Cost)、品質(Quality)、納期(Delivery)
のバランスが大切だとよく言われる。


この考え方に基づくと、品質を犠牲にすれば、
コストが安く、納期は早く上げることができ、
株主や企業の利益が大きくなると考えることができる。


本当に、そうなのだろうか?
品質を犠牲にすれば、コスト・納期は有利になるのだろうか?


品質を犠牲にした商品の例として、
Microsoft Windowsというソフトウェアを考えてみる。


Microsoft社はこのソフトウェアは低品質のまま出荷し続けてきた。
問題点は、出荷後に利用者にパッチを適用させることで誤魔化してきた。
また、セキュリティの影響を考慮せず、無秩序に機能強化を繰り返してきた。


この結果、コンピュータウィルスの蔓延やスパイウェアなどが社会問題となった。
当事者のMicorosoftは、そのようなセキュリティ問題への対応に追われ、
いまだに次期WindowsのWindows Vistaのリリースができていない。
(搭載予定の機能を大幅に減らしているにも関わらず)


今現在のMicorosoft社にとって、
Windowsの品質の悪さは重荷となっている事実がある。


「もしも」の話をしても仕方がないのかもしれないが、
Micorosoft社が、まともに品質管理に取り組んでWindowsを作っていたら、
今のコンピュータはもっと使いやすかったかもしれないし、
パソコンやサーバ以外のもの(カーナビ、携帯電話、家電など)への普及も
もっともっと進んでいたかもしれない。
Micorosoft社(とその株主)は、もっと儲かっていたに違いない。


僕は、品質をおろそかにしてもそんなに利益は得られないと思う。
おろそかにした品質は、企業にとって負債としてのしかかって来るだけである。
# 過剰に高い品質は不要だと思うが、


企業は、あまりコストをかけずに、
品質を確保する取り組みを始めるべきだと思う。
これは株主や企業の利益を優先するとか言う類の問題ではない。
品質は、株主や企業の利益に直結する問題である。
# 要するにモラルとか言うような類の問題ではないと言いたい。


ビジネスのスピードは速くなっている。
品質をおろそかにして、短期的な利益を確保したつもりでも、
その利益を帳消しにし、さらに大きなマイナスをなるような問題は、すぐに表出する。