1998年にキリンが発売した発泡酒「淡麗<生>」によってビール・発泡酒市場がどのように変化したかが描かれている。僕がこの本を読んだ理由は、アカウンティングの勉強会で「キリンビール」をテーマとすることになったことである。実は僕自身は下戸でお酒が飲めないので、当然ビールや発泡酒には興味が無く、この本で初めて知ることになる知識が多かった。
 ところで書店のビール業界の本のコーナーに行くと、アサヒやスーパードライの文字が踊っている本がとても多い。それだけスーパドライという商品が凄い商品だということなのだが、この本もそのスーパードライによるビール業界のシェアの変化がポイントになっている。
 アサヒビールがシェアを落とし瀕死の状態にある中でスーパードライというビールを発売してことで奇跡的な復活を遂げる。そのアサヒビールの復活に伴って、最もシェアを奪われたのは麒麟麦酒という事になる。実際には、アサヒがスーパドライを発売した頃は、麒麟麦酒はビール業界で独占的な地位に有り、(独占禁止法がらみで)スーパドライに対する積極的な対策を打てなかった。と言う面もあったのだが、ビールのシェアがアサヒに追い抜かれてしまった事実は変わらない。チャレンジャーとなった、キリンは淡麗という発泡酒を発売し、価格面と発泡酒らしからぬ味でアサヒのスーパドライに勝負を挑む。
 この本の大まかな内容は以上のような点だが、この本を読んだ目的のアカウンティングの勉強会に向けては、ビール業界と麒麟麦酒の置かれている状況を知るのに十分役立ったと思う(特にビールを飲まない僕にとっては)。また、読み物としても結構面白かった。