認知心理学というのはこういう学問なのだな、こういう心理学も存在するのだな。というのが、第一の感想。僕の場合は、心理学というと精神分析やトラウマのような深層心理をイメージしてしまう。この本では認知心理学を、認識と知識の実験心理学という紹介している。具体的には、目の錯覚や物事の考え方などがそれにあたり、この本ではそれらを実験を通して明らかにしていこうという取り組みが紹介、解説されている。
 認知心理学の成り立ちの解説で、認知心理学がコンピュータ工学(認知情報工学)と深い関係を持っている事を知った。実験心理学というアプローチが、人間の認識をコンピュータの様なモデルと仮定し、それを証明するための実験方法を考え、その実験を行い、そのモデルが正しいか否かを判断するという手順をとっている。そのような事からすると、コンピュータ工学と深い繋がりがあることはある意味当たり前なのかもしれない。また、僕の様なシステムエンジニアの立場からは、認知心理学の成果をコンピュータ工学に応用し、人にやさしいコンピュータを開発する事に役立てるという意味でも有意義な学問だなと考えた。
 改めて世の中には色々な分野の学問があるなと思った。どのような学問も、やはり意味のあるもので、その意味はある程度学んでみなければ分からない。しかし、時間には限りがある。この認知心理学のように、今までに自分が学んだことが無い学問に出会うたび、もっとたくさんの時間が欲しいなと感じる。