私は営業職を経験したこともなく、今後経験する事もないとは思う。しかし、コンサルティングには関心があるのでこの本を手に取ってみた。この本には、物余りの時代の現在では、セールスマンはコンサルティングによってそのものの価値を顧客にコミットしなければ、セールスがたち行かなくなってきていると言うことが書かれている。このことはセールスマンだけでなく、製品を開発する者であっても、サービスを提供する者であっても意識しなければならないことであると、僕は考える。ただ高機能な製品を作る、入念なサービスを提供するということではなく、顧客がその製品やサービスを利用する目的や場面を意識しながら取り組む事が、現在のビジネスでは非常に重要なことだと思う。
 この本では、コンサルティング・セールスとは何か、顧客ニーズの聞き方とまとめ方、プレゼンテーションの仕方、折衝の進め方、トレーニング方という内容で構成されている。顧客ニーズの聞き方では、事前準備の重要性と、顧客は真実のことを言うわけではない(どうやって真実を導き出すか)という事がキーポイント。プレゼンテーションの仕方は、時間を守る、訴求したい点を漏らさず伝える、ツールを上手に使いこなすという事がキーポイント。折衝の進め方では、目的を明確にして望む、非論理性(理屈だけでは商談には勝てない)に注意するということがキーポイント。トレーニング方では、セールスマンの仕事に支障を来さないように効率よく実施することがキーポイント。それぞれの点で、以上のようなキーポイントがあると思われる。
 これらのキーポイント以外にこの本で取り上げられていたことの一つに、相手の話の腰の折り方というテーマがある。これは交渉相手が饒舌過ぎて、話が横道にそれてしまった場合に、どのようにして本題に話を戻すべきかという問題です。その方法の一つとして、相手の話を先回りして共感を示して話を切り上げ、本題に戻すという方法が紹介されている。と、言われても具体的にどうすればいいのかは、なかなかピンと来ない。話し方や交渉の仕方は、本だけで読んでも実践につなげるのは難しいものだな、と感じた。