「身も蓋もないことを言うな」という結末かも知れない。人は狭い常識にとらわれていて、その常識に意味があるかどうかを振り返らない。この小説がそのようなメッセージを意図しているか否かはわからない。この小説は、メルヘンチックでおとぼけな感じの物語と説明すればよいのだろうか。読みやすい作品で、「勢いで押してるなぁ」と言うような感じも無く、落ち着いて読める作品だった。
 物語の内容は題名の通り、「こびと」の話。こびとが人間(こびとから見ると巨人)の世界に来て、一緒に生活を送るというもの。こびとや巨人というのは、ガリバー旅行記の例を挙げるまでもなく物語には良くある設定である。ふとこの物語の中身を振り返ってみると、人間からこびとと言う視点で小ささを表現している部分は多い反面、こびとから人間という視点で大きさを表現している部分が少なかったような気がする。そういった表現の差が、おとぼけな感じを生み出しているのかも知れないと感じた。巨人の大きさを強く表現しすぎると、のんびりとした空気にはならないはずだから。