銀行、生損保、ノンバンク、証券などの金融業界動向の解説本。僕自身、金融業界といえば、馴染みのある業界といえば馴染みがあるが、実際のところよくわかっていない業界というイメージがある。銀行での決済などは、日々の生活の中で常に行っているものだが、金融に関する用語などはいまいちよくわかっていない。この本でも、そういった金融の用語は登場してくるが、ニュースで聞いたことがあるような言葉が多く、難解な印象は無かった。
 現在の銀行の苦境の状態を生んだ背景について、20年前から振り返って書かれている。バブルの崩壊、住専問題、ゼロ金利、メガバンク再編など、良く耳にした言葉が並んでいるが、僕がそれらの問題を(何が問題かを)きちんとわかっていたかというと、ほとんどわかっていなかったという事を認識させられた。そして、これらの問題の関連性についても、それぞれ説明されており、現在の銀行の状態というものをある程度理解する事ができたと思う。
 生保、ノンバンク(カード会社、信販、消費者金融)については、ここの業界の動向もあるが、やはり銀行との関係という点に重きをおいて説明されていた。それ以外の業界でもだが、金融業界で銀行が特に大きな影響力を持っているということを改めて認識させられたような気がする。
 証券については、個人投資家の株式投資が中々根付かないという問題が取り上げられていた。株価の低迷や、証券会社の企業努力が足りないという点が指摘されていた。しかし僕が思うのは、株式などによる資産運用には関心はあるものの、株価の変動、投資対象の企業の情報を収集したりするゆとりが無いというのが、個人投資家の本音ではないだろうか?