「R」という統計計算用フリーソフトウェアを利用した、品質管理に統計学の手法を適用する入門書。本書は、「R」というフリーソフトウェアを利用することを前提としてはいるが、どちらかというと統計学の品質管理への適用方法の入門書という色合いが強い。グラフ・管理図、チェックシート、パレート図、ヒストグラム、特性要因図、散布図、層別というQC7つ道具のうち、チェックシート以外のツールについての、具体的な例を示しながら解説されている。具体例では、統計的に品質を分析しその改善策を検討していく流れが示されており、適用方法をイメージしやすくわかりやすかった。
 書名の通り本書は、統計学がベースとなっている。当然、分布・分散・検定といった統計学の基本的な要素が登場する。取り上げられている統計学はそれほど高度なものではないと思うが、最近は数学に触れる機会も少なくなっていたので、すらすらと読むことができなかった。機会を見つけて、数学を復習する必要があるなと感じた。
 ちなみに、この本は「R」の使い方については必要最小限のことしか書かれていない。「R」を使いこなすためには、他の本やインターネット上の情報を多分に参照する必要があるだろう。