ピーターの法則とは「階層社会では、すべての人は昇進を重ね、おのおのの無能レベルに到達する」である。具体的に説明すると、技術に秀でた有能な技術者はその能力を認められて主任へと昇進する。ところが、技術に秀でた有能な技術者が部下をコントロールし、その仕事を円滑にすすめる能力に長けているとは限らない。そのような有能な技術者は主任になることによって、何も生産しない無能な人間となってしまう。仮に主任として優秀であったとしても、更に昇進を繰り返し、部長や役員や社長となった結果何も生産しない無能な人間となってしまう。いずれにせよ、人は何も生産できなくなる、無能とされるレベルまで昇進をするのである。そしてその結果、階層社会は無能な人間ばかりとなってしまう。それでもその社会が成り立つのは、まだ無能レベルまで昇進していない、昇進途中の人間が生産を行っているからである。
 なるほど、確かに。読めば納得してしまう法則だ。そしてそのような例は、僕の身の回りにも多い。そして、この本では、その法則の説明だけでは終わらない。そのような無能レベルに達することが無いように、現在の仕事を遂行する上で支障が出ない範囲での無能さをPRすることをすすめている。また、その教えを人類自体にも適用して、無理をして宇宙旅行をする必要は無く、地球で充実した生活できるようにすればよいではないか。とすすめてもいる。
 社会を皮肉った軽い内容の本という印象を持ってこの本を手に取ってみたのだが、読んでみるとなるほど納得という感じ。そして著者は、これを階層社会学と称している。とはいうものの、肩の凝らない本であることも確かなので、気楽に読むことができた。