当たり前のことがしっかりと書かれているなというのが、読んでみた第一の印象。本書で述べられている最も重要な点は、「チャート作成のステップ」と「どのような比較に対してどのようなチャートを使用するか」の2点。チャート作成の3つのステップ:あなたのメッセージを決める→比較方法を決める→チャートフォームを選択する。構成要素の比較にはパイチャート、項目の比較にはバーチャート、時系列の比較にはコラムチャートまたはラインチャート、頻度の比較にはコラムチャートまたはラインチャート、相関の比較にはバーチャートまたはドットチャートを使用する。(基本のチャートのフォームは5種類:パイチャート・バーチャート・コラムチャート・ラインチャート・ドットチャート)
 以上はセクション1で述べられている話題。セクション2では具体的なチャートの例、セクション3ではコンセプトとメタファーの例、セクション4ではチャートをスクリーンで見せる場合の注意点が示されている。私は、セクション2と3は蛇足だという印象を受けた。セクション2は急に応用に入ってしまっており余計な混乱を招くし、セクション3は明確な説明もなく絵や図を並べてもあまり意味は無いと思われれる。実用性を考えると、セクション1のみを簡潔な小冊子にまとめてあると利用しやすいのでは無いかと感じた。
 ちなみに、本書の原題は「Say it with charts」(チャートを使って伝える)。原題の方が本書の内容を良く表していると思う。