新宿での変死事件と能の舞台での急死事件がどのように結びついて行くか。この作品を読み進める上で一番興味が惹かれる点だと思われる。実際、読み終わったところ、期待したほど面白い展開では無かったかな。という感じがした。浅見光彦ミステリーシリーズで、一番人気のある作品らしいということで、ちょっと期待しすぎたのかなという感想。
 二つの事件の被害者の親族から、二人のヒロインが登場する。新宿の事件は「智春」、能の舞台の事件は「秀美」。その間に浅見光彦が入り、上手い具合に二つの事件に関連を紐解いていく。その過程で、ヒロインとして秀美をメインに据えている点がもあるのか、新宿の事件の印象が薄すぎる気がする。それが2つの事件の結びつきの物足りなさに繋がっているのかなという感じもした。否定的な感想を書いたが、全般的には楽しめる作品だったと思う。