2000年版のPMBOKに合わせ、IT業界向けに特化したプロジェクトマネジメントの基礎を説明した本。この本の「まえがき」にも書かれているが、PMBOKに対応しているPMP試験対策の教科書という側面と合わせて、IT業界向けに特化しているCompTIAのIT Project+の試験対策の教科書としても有効であるということ。PMPやCompTIAの試験内容を把握している訳ではないので、試験対策本としてどれだけ有効なのかは分からない。しかし、先日受講したPMP試験対策のeラーニング教材の内容から考えても、PMBOKに合わせてかなり忠実にまとめられている本だという印象を受けた。
 この本の構成はPMBOKの9つの知識エリア(総合、スコープ、タイム、コスト、品質、人的資源、コミュニケーション、コミュニケーション、リスク、調達)に合わせて記されており、知識エリア毎に事例・基礎知識の解説・まとめ・練習問題・推薦図書・用語の解説が記されている。各章は事例から始まり、すぐに基礎知識の解説に入ってしまっているので、PMBOKの知識体系を学ぶという視点からは少し分かりにくい印象を受けた(インプット・ツールと技法・アウトプットという観点での整理されていない)。この本は、プロジェクトマネジメントの初学者にはちょっと取っつきにくい本では無いかと思う。プロジェクトマネジメントの講義の教科書や、事例を考えながらプロジェクトマネジメントの理解を深めていきたい読者には、しっかりとまとめられており良い本だと思う(私には少し早すぎたのかもしれない)。
 ところで、この本の付録に、Microsoft Projectの体験版がついているが、このソフトを用いることを前提としたプロジェクトマネジメントの解説書ではない。このソフトの活用方法が具体的に示されている訳でもないので、その点は注意したい。