アクセンチュア、非常に有名な会社で頭脳集団というイメージが強い。この本では、そのアクセンチュアがどの方向を向かってビジネスを行ってきたのか、その強さの理由について描かれている。前者の答えは、戦略コンサルだけでは無く、その提案を実行に移すところまで責任をとる・リスクを負うビジネスを行うこと。後者の答えは、ナリッジ・エクスチェンジと呼ばれる、全世界のアクセンチュア社員を結ぶナリッジ・マネジメントシステムを活用すること、そして他社から引き抜かれる程の人材を育て上げること。
 ひとことで言ってしまえば簡単に聞こえるが、私は今までまともに機能しているナリッジ・マネジメントシステムを見たことがない。この本を読んだだけでは、どうしてアクセンチュアでナリッジ・マネジメントシステムが効率的に機能しているのかが正直わからなかった。ただ私は、他社から引き抜かれる程の人材の勤勉さとモチベーションの高さがそれを支えているのではないかなぁと感じた。
 アクセンチュアの世界を垣間見せてくれたこの本だが、一点だけ不満がある。アクセンチュアの課題について何も描かれていないことだ。これではアクセンチュアが完全無欠の組織のように思えてしまう。きっと彼らは、たくさんの課題を抱えているに違いないと思う、その頭脳ゆえ。