先日、目黒区の区民祭りで目黒のサンマ祭りという祭りがあったのだが、私の周りの人と話をしてみると、元になった「目黒のサンマ」という落語を知らない人が多い。が、いざ自分がどの程度落語を知っているかというと、そんなに落語を知っているわけでも、ない。そんな時、本屋でふと見かけて本がこの本だった。
 この本は2ページで一つの落語のストーリーを紹介する形で構成されていて、それが100話並ぶ。私は、特別な落語好きでも、東京の人間でも無いので、ほとんどは知らない落語だった。
 今まで私は文学というと、基礎として聖書や西洋の童話などからシェイクスピアなどを中心に読んできたと思うが、日本の文学の基礎として日本の童話や落語のような文学も読んだほうがよいのではないかと感じた。この本は、単に落語がたくさん載っている本として手にとっても十分面白いが、それぞれの落語について短い解説がついており、そこから落語の型(パターン)というものに触れることができる。私は、ある程度定着している文化には必ずといっていいほど型があると考えているが、落語にはその型があることが明確にわかる。おちに型があるだけでなく、文庫のカバーにもあるように「小言好きのご隠居にちょっと頼りない与太郎」というお馴染みのキャラクターまで居る。このような定番キャラクターを上手に自分の創作に取り入れてみると創作の幅も広がると思う(しかも、著作権の問題も無い)。創作に定番キャラクターを使用すると、読者にとってのとっつきやすさはもちろん、読者の読書の幅を広げる助けにもなり、メリットは大きい。ただ使い方を誤れば、どこかで聞いた話という印象だけを与えてしまうことにはなるが、
 私自身、日本の文学というものを軽視していた面もあるかもしれないが、落語などの日本の古典文学についてももう少し興味を持って触れてみようと感じた。