第一作目が楽しめたので、さっそく続編となる本作品も読むことにした。前作と同様に古書をモチーフにしたミステリー小説だが、一作目と比較すると、謎解きというよりも登場キャラクターの人となりを楽しむような作品の傾向が強くなっているような印象を持った。本作で登場するのは、坂口三千代「クラクラ日記」、アントニイ・バージェス「時計じかけのオレンジ」、福田定一「明言随筆 サラリーマン」、足塚不二雄「UTOPIA 最後の世界大戦」の四作品。ラインナップを見た感じでも、前作よりもラノベ色の強い印象の作品が取り上げられているが、作品の雰囲気も前作よりはラノベ寄りというか、エンターテイメント色が強い印象を受けた。
 第一作目から続けて読んでいることもあり、ちょっとマンネリかなと思う部分もあったがすらすらと読み進めることができた。本作品の中で栞子さんが、旅に出たら旅先で古書店を巡ったら楽しそうと言うような発言をするシーンがあったが。僕も、旅先に行ったら必ず本屋に入って、どんな本が平積みされているのかとかを見るようにしている、そこからその土地の様子が垣間見えるような感じがして楽しいのだ。そんな点でも、登場人物に親近感を持って楽しむことができたと思う。
 取り上げられた作品の中で、「時計じかけのオレンジ」は(読んでないが)なんとなくどのような話か知っていたが、本作で触れられている完全版の方は全く知らなかったので、読んでみようと思った。と言うように、読むことでさらに本を読みたくなる本というのは楽しいが、部屋が本であふれて片付けられない原因にもなるので危険な本棚という感想を持った。