PHP言語でよく利用されるPEARライブラリの解説本。この本では、PEARライブラリの中から、PEAR::DB、PEAR::Auth、PEAR::HTML_QuickForm、PEAR::HTML_Menu、PEAR::Config、PEAR::Logなどの使い方が解説されている。また最後の章では、これらのライブラリを利用して「在籍ボード」(オフィスなどにある行き先掲示板のWeb版)の作成の流れが紹介されている。僕自身は、この手のライブラリの使い方がだらだらと紹介されている本がはあまり好きではない、と言うかリファレンスマニュアルを読めばわかるから要らないと考えることが多い。が、私自身が最近(PHP4以降)のPHPにあまりなれていないという面もあって、PHPのライブラリでどのような事ができるようになっているのかの現在を知る事ができ、有用だった。
 この本を読んでみて強く感じたことが2点ある。それは「PHPはWebアプリケーションを作るための言語だ」「Javaでできることは、PHPでもできるようになってきているのだな」という2点である。「PHPはWebアプリケーションを作るための言語だ」という点については、この本で上げられているライブラリの大部分がWebアプリケーションに欲しい機能だった点が大きい。PEAR::Auth、PEAR::HTML_QuickForm、PEAR::HTML_Menuについては、Webアプリケーション用の機能だ。特に、PEAR::HTML_QuickFormのウィザード機能(複数ページにまたがるWebフォームを実現する機能)などは、Webアプリケーションに是非とも欲しい機能だと思う。「Javaでできることは、PHPでもできるようになってきているのだな」という点については、PEAR::Log、PEAR::Spreadsheet_Excel_Writerなどで感じた。LOG4Jのようなログ出力機能、EXCELファイルをプログラムから出力する機能などは、Javaの追加ライブラリでも結構メジャーな機能だ。
 以上のように、この本を通じて、PEARライブラリの様々な機能を知ることができ有益であった。最後に、この本の記載レベルについて感じたことだが、単なる紹介だけでなく、とりあえずある程度使えるようになるレベルまでサンプル付きで解説されており、好感を持つことができた。