真夜中、電子レンジにぶつける嘆き
「・・・・」
その時、僕は言葉を失った。
僕の目の前には、扉を開いた電子レンジがある。
そこにはコンビニ弁当が入っている。
会社から終電に乗り、帰り道のコンビニで弁当を買い、
たった今、帰宅したところだ。
手にはコンビニ弁当を持っている。
僕の目の前には、扉を開いた電子レンジがある。
そこにはコンビニ弁当が入っている。
「・・・・」
その時、僕は言葉を失った。
意味がわからない。
これからコンビニ弁当を電子レンジで温めようとしているのに、
どうしてコンビニ弁当が電子レンジに入っているのだ、既に。
否、これはホラーではない。
そこで僕の記憶は一昨日の全く同じ時間に飛ぶ。
会社から終電に乗り、帰り道のコンビニで弁当を買い、帰宅した。
コンビニ弁当を電子レンジに入れて、ボタンを押し温め始めた。
その後の記憶が無い。
そのコンビニ弁当を食べた記憶が全くないのだ。
電子レンジがコンビニ弁当を温めるまでにかかる時間は数分。
一昨日の僕は、その短時間の間に眠ってしまっていたのだ。
そして、それに気づいたのが、たった今。
僕の目の前には、扉を開いた電子レンジがある。
おいおい、僕はいったいどれだけ疲れているんだ。
僕は、この悲しみを何処にぶつければいいんだ。
3年前の春。
僕は、こんな日々を送っていた。
あまり忙しくない近頃、そんな昔の事をふと思い出した。