「小説を書くための基礎メソッド」の続編。プロット、書き出し、会話、キャラクターについての小説の書き方が解説されている。実践編では、実際の小説を引用した上で解説が進められている。取り上げられている小説は、谷崎潤一郎「青い花」、山本周五郎「さぶ」、宮本輝「五千回の生死」、有吉佐和子「悪女について」。残念ながら、僕自身これらの小説を読んだことが無かったのだが、具体例を示しながらの解説は分かりやすい。
 テクニックと言う面では、実践編で新たに示されている事というのは多くないと思われる。しかし、具体例が豊富で、基礎編の理解をより深めるという意味で読む価値のある本だと思う。基礎編で示されていたプロットの立て方については、具体例の提示、良い点と悪い点の指摘、より良いプロットの組み方の提示というような構成がされていて、プロットの組み方と推敲の仕方が目に見えて分かりやすい。
 小説の書き方の本というのは、このシリーズを読んだのが初めてだったので、発見が多くて楽しい読書だった。機会があれば、他の小説の書き方本を読んでみるのも良いと思った。その前に、実際に僕自身が、いくつか小説を書くことが重要かも知れないけれど。