僕自身、いくつかの小説を書いたことはあるが、今までこのような小説の書き方の本を読んだことは無かった。なので、この本が他の小説の書き方本と比べてどうなのかという事は指摘できない。が、一通り読んでみて、小説を書くための知識がつまっていて有効なのではないかという印象を持った。
 この本には、こまごまとしたテクニックなども書かれているが、特に実用的だと感じたのは、プロットの立て方の部分。場所・時・人物・出来事・セリフをシーン毎に書いて、そのシーンを並べてプロットを組み立てるという方法が紹介されている。この本を読んでいるだけでは、この実用性がピンと来ないのだが、自分で実際にこの方法でプロットを組み立ててみるとこの有効性がわかる。今まで僕は、出来事の箇条書きでプロットを組み立てていたのだが、場所・時・人物・セリフなどを明示することでプロットが非常に組み立てやすくなる。小説の本文中に場所や時を示さないにしても、自分の中で整理しやすくなると言うことがわかる。また登場人物をシーン毎に整理することで、人物をその場面で行動させるイメージを作りやすくなる。また、同じ箇所に記載されていた人物のイメージ作りの方法も参考になる。登場人物のイメージを作るために、100の質問をその登場人物にぶつけてみるというもの、小説の本文中に示さないにしても、その人物の好きな食べ物などを決めている方が、そのキャラクタ像をイメージしやすくなる。
 その他に、視点について触れられている部分もあって興味深かった。これは、小説を一人称で書くか、三人称で書くかという問題。この本では、主に視点が混在するとわかりにくくなると言う点が指摘されている。最終的には、その小説にどちらの視点が適しているかという事で判断する問題ではある。が、この視点が異なるだけで小説の印象は大きく変わる。
 その他にも、いろいろと興味を持った部分は多いが、小説を書くということは中々奥が深くて面白いことなのだなと言う事を再確認できたような気がする。