ジョン・レノンを信じるな
こういう感想はどうかと思うが、この物語を書こうとしたらジョン・レノンやビートルズについて結構調べないといけないだろうなぁと感じた。と思ったら、案の定、巻末に参考にした資料の一覧が掲載されていた。
恋愛もするけれど、主人公が向いている方向は自分。今まで読んできた片山恭一氏の作品は全体的にそんな感じがするが(というか文学ってだいたいそんなものなんだろうけど)、この作品は特にそれが露骨に描かれているように思う。「満月の夜、モビィ・ディックが」や「世界の中心で愛をさけぶ」では、主人公目の間に実在する人物との行動によってそれが描かれているが、この作品では主人公の目の間に存在するはするが、そこには実在しないジョン・レノンという存在によって主人公は自分を見つめる。直接的な手法といえば、非常に直接的な手法によって描かれているなぁと感じた。