都市と言うメタファー:『秋葉原』という街
あなたは、『秋葉原』と言う街にどのようなイメージを持ちますか?
電気の街、コンピュータの街、オタク文化の街、メイド喫茶の街、…
こんな風にいろいろなイメージがあると思われるが、
だいたいの人が、同じようなイメージに行き着くのではないだろうか。
この街は、特別に分かりやすい例なのかも知れない。
しかし立ち止まって考えてみると、他にも分かりやすいイメージを持った街は多い。
例えば、銀座、新宿歌舞伎町、新橋、表参道、渋谷センター街、代官山、田園調布、白金台、高島平、…
このような街には、どうして分かりやすいイメージがついているのだろうか。
例えば、テレビドラマのミステリーで殺人事件が起こる。
その現場が南青山である場合と、蒲田である場合でその殺人事件の性質はかなり異なる。
そのドラマのその後の展開も大幅に変わることになるだろう。
南青山で起こる殺人事件は、金持ちが被害者のケースが多いだろうし、
蒲田で起こる殺人事件は、殺害者側の人間性にフォーカスがあたるかもしれない。
このようなイメージはあながち間違いではないのかも知れない。
ただ、テレビや小説などの文化が
このイメージをより強いものにしているとは言えると思う。
テレビなどでは、
何も言わなくても、これらの街を映像として映し出すだけで、
実に多くのメッセージを伝えることができる。
「丸の内を歩くOL」「新橋を歩くOL」
例えば、この2つの映像だけでも、メッセージを伝えることができる。
これらの都市が持つイメージを比喩的に用いることによって、
登場人物や物語に個性を与えるという手法は、
テレビや小説などの世界で日常的に行われていると思う。
そして、それらのテレビや小説などに触れた人は、
その都市に与えられたイメージを、より強く持つようになる。
このようにして、
都市は(おそらく本来の姿以上に)、そのイメージを強烈なものにしていく。
このような視点で、テレビや小説を見てみると、
「上手に都市のイメージを利用しているな」と感じることが多い。
都市というものは、実に面白い。
こんなことを考えながら、東京を散歩してみるのも楽しい。