デルの創業者「マイケル・デル」自身が、デルが過去にどのような経営戦略をとって来たのかを記した本。この本には、今までの販売店を通じた流通にはない、ユーザに直接販売するメリットが記されている。具体的には、直接顧客のリクエストを聞くことができるので本当に顧客が求める商品を製造することができる、流通在庫を抱えないので顧客に新製品を迅速に届けることができる、等が記されている。本書では、デルが「ダイレクト」戦略で成功している理由は、常に顧客の利益を最大にするためにはどのようにすればよいかを考えているからであるという主張がなされている。ダイレクト戦略ありきではなく、顧客に最高の商品・サービスをどうすればよいかを常に考えていることがデルの成功に繋がっているのだということである。
 デルのダイレクト戦略は、経営戦略の分野ではよく知られていると思う。しかし今まで、僕は彼らが、単に直販のビジネスで成功したということだけしか知らなかったように思う。この本を読むことで、直販、受注生産、顧客のリクエストの理解、無駄取り、プル型のサプライチェーンなどが上手く結びついて成功しているというメカニズムを知ることができた。ただこの本で示されている戦略で最も参考にすべき点は「同じ失敗を2度しない」「軸をぶらさない(デルの場合は本当に顧客が求める商品を提供すること)」の2点ではないかなと言う感想を持った。