元NTT社長の宮津純一郎氏の著書。NTTグループや、グループの各社が今後どのようにビジネスを展開して行こうと考えているか、今までどのようにビジネスを進めてきたかが描かれている。実際には、NTTと言う会社は民間企業とは言え、そのビジネスの進め方は国の意向に大きく左右される。この著書は、NTTの考え方を一人でも多くの人に理解してもらうために書かれた本という見方もできる。ただこの本は、純粋に日本の通信の歴史や将来像を知るための本として読んで十分に面白い本だと思う。
 NTTのトップの人事は、事務畑・技術畑のたすきがけで行われているというのは有名な話だが、宮津純一郎氏は技術畑の人である。なので、通信の技術をきちんと知っていると言うこともあり、ビジネスの駆け引きという事よりも、技術の進歩の歴史や、技術が作る未来像などに視点があるような印象を持った。僕自身、通信というものは、人と人とを繋ぐ技術として、人の心を豊かにするポテンシャルを持った夢のある技術だと思っている。NTTという会社には、是非通信の未来を切り開いて行って欲しいと思う。もちろんNTT以外の会社にも頑張って欲しい。(この本のテーマは、あくまでNTTのビジネスということがテーマだが)