NTT批判本である。NTTのように公的な性質を持つ民間企業はよく批判の対象として取り上げられるが、この本も例に漏れずと言う感じがする。NTTが現在のような形になった理由や、族議員の主張などが取り上げられており、NTT批判の典型的な形を理解することができたように思う。
 NTTが通信業界で独占的な地位を持っていることや、新電電がなかなかシェアをとることができないという事実があり、それによって通信業界の発展に問題があることも事実だとは思う。しかし、NTT批判の主張の一例としてある、JRのようにNTTを地域別に分割すればよい主張は乱暴だと思う。現在の収益構造を考えると、NTT東では接続料の値下げができる、NTT西でも接続料を上げる必要はない、という主張も無理がある。東海・近畿よりも、東北・北海道の方が料金が安くなるという事が競争の原理に乗っ取っているといえるのだろうか。それが通信サービスの利用者の利益に繋がるのだろうか。
 この本を読んでいると、結局、NTT批判をしている人たちも利用者の事を考えていないように思われる。利用者や国民にとって何が利益なのかを考えて、問題解決に対する提言をして欲しいものだと感じた。