携帯電話業界、現在はだいたい8.5兆円くらい。が、この本のタイトルは30兆円と随分と大きな数字になっている。しかしこの本には、携帯電話業界が30兆円規模にまだまだ成長すると言う夢のある話が書かれているわけでも無い。
 NTTドコモ、KDDI(au)、ボーダフォン、ウィルコムの既存キャリア。そして、イー・アクセス、ソフトバンクという新規参入のキャリア。まずは既存キャリアの現状について、NTTドコモのおさいふケータイ、auの着うたなどのサービスと3GとFMC(FixedMobileConvergence)、ボーダフォンの3Gの失敗とMVNO(MobileVirtualNetworkOperator)への取り組み、ウィルコムの通話定額制とW-SIMなどが紹介されている。新規参入キャリアのイー・アクセスについてはMVNOへの取り組みが紹介されているが、ソフトバンクは特にこれと言った未来は語られていない。新規参入キャリアについては、事業戦略上、詳細を明らかにしていないのだとは思われるが、個人的にはあまり期待が持てないなと言う印象を抱いた。期待できるのは既存キャリアに値下げ圧力をかけるくらいかな。
 実際に新規参入キャリアが事業を始めてみなければわからないことではあるが、本のタイトルから見て将来への夢や期待の持てる内容にはできなかったのだろうか(例えば、海外の例を持ち出すなど)、というのがこの本を読んでみての感想。