通販と言っても、実に様々な業態が存在する。ネット通販、カタログ、テレビショッピングなど。この本では、そのような通販業界のトレンドとその仕組みを中心に取り上げられている。僕自身は仕事上ネット通販に関わることが多いのだが、ネット通販以外の通販ビジネスについて知ることができたことは意味があったと思う。そしてそれよりも大きな意味があったのは、通販ビジネスの仕組みを簡単ではあるけれど知ることができたこと。
 通販のビジネスは、「情報」をうまく使って、「商品(MD)」「顧客」「メディア」「フルフィルメント(受注・配送・代金回収・コンピュータなど)」を回すこと。他の小売チャネルと比較して、はるかにシステマチックに組み立てられたビジネスだと言うこと。そのようなシステムをきちんと構築することが通販ビジネスで成功する必要条件であり、メーカーの直販がなかなか上手くいかないのはそのようなことが一因であると言うこと。それ以外にも僕の考え方としては、顧客と遠隔でやりとりすると言うことは、少しのミスでも顧客の信頼を一気に失ってしまう危険性が高く、遠隔であるが故にミスも発生しやすいと言う側面もあると思う。対面販売に比べて、システマチックで人手がかからないイメージがある通販だけれど、その仕組みは人とコミュニケーションをするための仕組みだということを忘れてはならないとも思う。
 この本は非常にためになる内容だった、ネット通販に関わっている身としてこのような本をもっと早く読んでおくべきだったと痛感した。