ニシノユキヒコという男性が、いろいろな女性を愛したり、いろいろな女性に愛されたり。そのような連作短編集、10作品で構成されている。すべての作品は主人公の女性の視点から見たニシノユキヒコという男性が描かれている。また、全ての作品の主人公は異なる。
 ニシノユキヒコという人物は、平たく言えば、非常に女性にもてる男性として描かれている。そのニシノユキヒコに主人公の女性たちは振り回されてく、ニシノユキヒコ自身はその女性を振り回すつもりはないのだろうけれど。ニシノユキヒコが主人公の女性を愛してしまうことで混乱している様子もある、女性の見た視点から見て。主人公の女性たちにとってニシノユキヒコはつかみ所のない存在として描かれている。主人公とニシノユキヒコとの恋が過ぎた時は、風が吹いた程度の表現ですまされている。その風がどれほど冷たかった、暖かかったについては、それほど語られずに。
 なんとなくつかみ所の無い作品集だったが、さっと読み終えることができた。この本を読んでいた時の僕は、ニシノユキヒコという男性像を見て、まぁだいたいの男はこんな感じだろうな、と感じた。どの辺りがかというと、主人公の女性との接し方かな。