バランストスコアカードを、戦略立案、スコアカードの導入、情報システムの視点から説明されたガイドブック。付録には、KPI(Key Performance Indicator、業績評価指標)ライブラリーとして400個の指標が掲載されている。その他にも、ワークシートのひな形も掲載されている。全部を通して読んでみて、実践的な本だと感じた。
 まず、ベリングポイントのコンサルティングで実施されている経営戦略の策定方法「ミッションマネジメント」について解説されている。そこで、経営戦略を明確に整理した上で、KSF(Key Success Factor、重要成功要因)を抽出、重要プロセスのドリルダウンと課題の明確化を行い。それぞれの依存関係を整理、KPIを設定してバランストスコアカードにする。それから、情報システムを活用して、バランストスコアカードを運用する。そして、バランストスコアカードは運用を進めながら、軌道修正をしていく。この流れが順序立てて説明されており、スムーズに理解することができた。バランストスコアカードを実践するためには、とても参考になる本だと思う。
 この本を読んでいて印象的だった記述がある。バランストスコアカードの全社展開の段階で、その企業の戦略経営体系が見えてくる。その段階でおかしければ戦略テーマなり指標なりを修正していくことになり、指標に間違いがない場合は戦略そのものが間違えていたと言うことになる。つまり、従業員が指標を達成し、さらに指標にも問題が無かった場合は、経営戦略に誤りがあった。経営者の戦略が間違えていたと言うことになる。バランストスコアカードの運用によって、経営者が自戒できるようになれば、企業として良い状態になるのではないかなと感じた。