まず、淡々とした文で書かれた本だと感じた。一文一文が短く簡単な言葉で説明されており、大変わかりやすくすらすらと読み進める事ができた。ただ、本質的で無い事柄にも関わらず、同じ事が何度も書かれている部分があり、くどい印象も受けた。この本はディベートの入門書という事で、ディベートの効果、ディベートの進め方、ディベートで議論する上での思考の仕方と話し方について説明されている。
 ディベートの効果では、主に論理的思考力や意志決定力が向上すると言う点が述べられている。それと同じようにディベートで議論する上での思考の仕方や話し方sでも、論理的に考えること、説明すること、結論から物事を述べることがあげられている。この本はディベートの入門書ではあるが、主題はこの論理的思考力の鍛え方にあると思う。自分の意見を述べる場合は、まず意見を述べる、そしてその理由と根拠を述べる。相手に対して質問を行う際は、感想を聞くのではなく、疑問点・不明点をただす問いを投げかける。著者自身もこの本の中で述べているが、このような話し方は、自分の中で考えを論理的に整理する上での役立つものだと思われる。
 他に、ディベートの進め方では、肯定側立論→否定側立論→否定側反対尋問→肯定側反対尋問→否定側最終弁論→肯定側最終弁論のような順で進行していくことや、ディベートを実施する場合の座席の配置の仕方などが説明されている。これらの説明はディベートの実施方法ということで実用性はあると思う。が、この本の主題はやはりディベートで議論する上での思考の仕方と話し方の部分だと思う。