品質管理の基本がわかりやすく解説されている本。日経文庫のビジュアルシリーズは非常にわかりやすいので、それぞれの分野の初学者には是非おすすめしたい。この「品質管理の基本」では、品質管理の基本(PDCAなど)から、ISO9000シリーズ、問題解決の進め方、QC7つ道具、新QC7つ道具、統計手法が解説されている。この1冊で、品質管理を実践できるかというと難しいとは思うが基本を知る上では十分だと思う。
 この本で取り上げられている品質管理は、工場で製品を生産する場合の品質管理である。しかし僕自身、工場での手法はソフトウェアの品質管理にも応用できるのではないだろうかという考えがあったので、この本で上げられているような品質管理の手法を学んでみようと思い、この本を手に取った。このような入門の書籍を一冊読み終えたからといってすぐに結論が出るわけではないが、ソフトウェアの場合でも同様の手法がかなり適用できるのでは無いかなと言う印象を持った。特に、問題解決のステップとして「問題の把握」→「原因の追及」→「解決策の立案」という3段階をとるという考え方などは、品質管理の枠を超えて、問題解決が必要となる世界には一般的に適用できる考え方である。
 また、この本を読むまで全く知らなかった事に新QC7つ道具がある。これは「連関図」「系統図」「マトリックス図」「PDPC」「アローダイアグラム」「親和図」「マトリックスデータ解析」の7つだが、QC7つ道具が定量的な問題を取り扱うのに対して、こちらは定性的な問題を取り扱うということ。これらのツールの使いこなしまでは、この本では網羅できていないので、またこれらの道具について深く記された情報を見つけて取り組んでみようと思う。