IP電話の仕組み(一般の電話と何が異なるか)、IP電話を構成する基礎技術などが簡単に説明されている本。僕自身電話についてはそれなりに知識があるつもりだが、IP電話に関しては全くと言っていいほど知識が無かった事を思い知らされた。この本が2003年に発行されていることを考えると現在のIP電話の状況はもっと変化・発展しているのだろうと思う。ちなみに僕が電話についてよく勉強していたのは、工事担任者を受験した2000年の頃。
 この本ではIP電話の、技術面が中心に取り上げられている。H323プロトコルやSIP(Session Initiation Protocol)などは、全く知識がなかったのでためになった。TCP/IPや電話の通信技術の基本さえわかっていれば簡単に理解できるように書かれていると思う。この本で紹介されていた技術面の話題で興味深かったのは「VoIPの無音圧縮」。これは、通常の通話では4〜6割が無音状態なので、その部分の通信を省いてしまえば、データ伝送の帯域を節約できるという技術。しかし、通常の通話には連続的に雑音が含まれている為、しきい値以下の音を無音と判断して省いてしまうと、ブツ切れの雑音が通話する相手に聞こえることになってしまう。人間の耳には、連続した雑音は自然に聞こえるが、断続的な雑音は不自然に聞こえるため、無音圧縮は音質劣化に繋がってしまうという問題がある。なるほど、雑音を伝送するというのは無駄なようだが、音質の為には雑音もきちんと伝送する必要があるのだな。ということを興味深く思えた。