中国という国について知りたい。そう思って、手に取ってみた本がこの本。薄い本ではあるが、北京原人の時代から胡錦涛体制の現代までの中国史が簡単に描かれている。全体を読んでみた感想は、中学生や高校生の頃に世界史で学んでいることのはずだけれど、何となく覚えても居るのだけれど、あの頃は全然わかっていなかったのだな、という感想を持った。中国の歴史を簡単に紹介してる本ではあるが、そこに登場する人物や言葉などは日本人である我々にも多大な影響を与えていることばかりだな、と言う印象を持った。例を挙げるにも多すぎるぐらいである。
 いろいろな時代のことが書かれているが、魏呉蜀の三国時代などは、子供の頃に読んだ横山光輝の漫画を思い出しながら読むことができて面白かった。今、あの漫画をもう一度読んだら、また違った読み方ができるのかもしれないと思う。
 そして、第二次世界大戦の時代。日本は朝鮮・中国などの東アジア・東南アジアの国々に次々に攻め入る。この戦争に関しての見解や事実認識はいろいろあるので、触れるのは難しい問題だとは思う。ただ、本書の『日本軍は補給を軽視し物資の「現地調達」を奨励したので、極限下におかれた兵士の行動は住民への略奪、殺戮、強姦へエスカレートする。』という記述が、非常に印象に残った。軍幹部はこの顛末に対してどのような責任逃れをするのだろう。「物資の現地調達を奨励しただけで、略奪などを指示した覚えは無い」とでも言うのだろうか、「適切な手段で物資の現地調達を行わなかった兵士達が悪い」と言うのだろうか。極限状態におかれた兵士達がどのような行動を起こすか(起こさざるを得なくなるか)は、室町時代の応仁の乱で足軽達が行った略奪行為などからも予測することができたはずである。これと同じことが日本の大企業の経営者にも言えるのではないかと思う。経営者が経営課題として取り組むべきことを、無責任に現場に押しつける。問題が起こったらすぐに責任逃れの発言をする。これが日本人というものかと思うと悲しくなってくる。そして、僕に何ができるのだろうか、と考える。