経営学検定試験公式テキストの最後の巻、「人的資源管理」を取り扱っている。取り上げられているテーマは、経営戦略と人的資源管理、雇用形態の多様化、人事制度、人事評価、福利厚生、能力開発、労使、リーダーシップとモチベーション、ストレスとメンタルヘルスなど。人的資源管理という言葉から、人事制度や人事評価といった人を管理するという視点のみを連想して読み始めた。しかし、それ以外にナレッジマネジメントに通じる人と人とのコミュニケーション、そしてOJTやOff-JTによる能力開発など人を育てる視点。さらに、福利厚生、モチベーション、メンタルヘルスのように、「人」を雇用(使用)するのであれば当然考慮しなければならないことについても取り上げられており、人的資源管理というテーマでも考慮しなければならないことが幅広いという事を気づかされた。
 日本における人事評価について、「原因→プロセス→結果」を「職務遂行能力、意欲・態度、職務遂行度」に、さらに「能力評価、勤務態度評価、成績評価」と対応づけて評価しているということは、人事評価に関する事例などで何となく感じてはいたが、明確に整理されており、人事評価の考え方を再発見できたと思う。
 能力開発を一言で整理すると、OJTで先輩・上司から仕事を習い、OffJPでは知識を体系的に整理する、ということになる。これに加えてSD(Self Development、自己啓発)が重要視されてきているという指摘があるが、これは個人が雇用流動化に対応するために自発的に行っているというのが実体ではないかと思われる。個人が自己啓発で培った能力を発揮できる場所を、企業が上手く提供することができれば、従業員と企業の良い(Win-Winの)関係が構築できるのではないかな、という気がした。