「マーケティング」ということで、経営におけるヒト・モノ・カネのうちモノを扱う分野のテキスト。内容は、戦略的マーケティング、市場標的と市場細分化、消費者行動分析、製品戦略、価格戦略、チャネル戦略、コミュニケーション戦略、競争、流通など。このように列挙してみると、マーケティングと一言に言っても、いろいろなことを考えなければならないのだなという印象を持つ。マーケティングというと宣伝などのイメージが強いが、それ以外にも様々な分野にわたっている。
 この本の全般を読んでいて共通するのは、消費の歴史。生産者視点から消費者視点へ、少品種大量生産から多品種少量生産へと移り変わっていくことで、企業は消費者の視点でモノ(製品やサービス)を提供することを考えていかなければなったということ。一言でまとめてしまうと、よく言われていることで今更という感もある。しかし、マーケティングの必要性、重要性がそのような背景から生まれていることをしっかりと見つめて、各論を読み進めていくと理解しやすく納得できる。
 ところで、この本は経営学検定試験の公式テキストということもあり、内容はアカデミックで教科書的。研究者の考え方が次々と紹介されていて、それはそれで興味深い。しかし、その考え方に関する考察などはあまり記述されておらず、ちょっと寂しい感じもする。そのような内容(考察)は他の本に期待し、経営学の基本をきちんと理解するように心がけようと思う。