4/19放送のNHKクローズアップ現代「育児支援はどこまで進むか」で企業に義務づけられた育児支援の行動計画について取り上げられていた。放送の内容は、さまざまな企業の育児支援の新たな取り組みを紹介するというものだった。
 この番組の終わりで、このような取り組みが「女性の就業率の向上」と「少子化対策」に繋がっていくとよいというようにまとめられようとしていた。それに対して、ゲストのニッセイの研究所の方(武石恵美子氏)が、女性だけの問題ではなく、男性も含めた仕事の取り組み方を見直していかなければけない。というようなことを話されていた。
 当たり前のことではある。しかし世間では、「少子化問題」=「女性問題」と考えられることが多く。「非婚・晩婚化」の接頭辞には「女性の」が当たり前のように付いてくる。(一夫一婦制の日本で、女性が非婚・晩婚化しているとしたら、男性も非婚・晩婚化しているのは当たり前のような気がするが)


 ところで、この番組でも取り上げられていた、「ワーク・ライフ・バランス」。私生活と仕事をバランスよく行うこと。子育てだけでなく、勉強をしたい、趣味にも取り組みたい、といったニーズにも耐えられるような働き方ができる社会にすること。ビジネスのやり方を変えていくこと。
 そういった社会にしていく中で、男性も「子育て」に取り組んで行くことができ、女性も安心して「仕事」に取り組んでいくことができる。という考え方。そして、そのような社会を実現していくためには、マネージャのマネジメント力が非常に大事になっていくということも話されていた。


 なるほど。そういう考え方や、そのためにマネジメントが重要だという点はとても納得ができる。


 ただ、私がよく疑問を感じるのは、このような問題を論じる時の「視点」。


最近よく見かける理屈:
 女性が仕事をしたい → 男性の協力が必要 → 男性も育児休暇を取得


その理屈で行くと、
 女性が仕事をしたくなかったら? → 男性は女性の分も、働け?


 この理屈は、すべて女性だけの視点で考えられていて、「男は女の奴隷か?」とでも聞いてみたくなるような理屈だと思う。
 ただ私も、男性が育児休暇を取得して「子育て」に関わるべきだと考えている。ただ、その理由は上にあげたような理屈ではない。社会には男性も女性も居るのに、女性だけが子育てを行うのは、子供にとって決して好ましいことではないと思うからだ。先ほどの理屈と同じように書くと、次のような感じだろうか。


私が考える理由:
 子供にとって良い教育をしたい → 男性の協力が必要 → 男性も育児休暇を取得


 「子育て」を、母親にとって、父親にとってというように考えるのでは無くて、「子供にとって」をもっと考えて議論した方がいいのではないかなぁと思う。「女性にとって」だけで議論されると女性達の独りよがりだし、「男性も」ではまだ足りない気がする。


 実際に、私に子供が居たら「子供が居るから大変だ」で、毎日に振り回されて、こんなことを考えていた自分を忘れてしまうのかもしれないけどね。


 最後に誤解の無いように付け加えておくと、この番組や武石恵美子氏を批判するつもりはありません。この番組のテーマは「企業の育児支援」で、子供にとって云々より、働く上に焦点が当てられていることは当然です。また、「ワーク・ライフ・バランス」という考え方を実現させることができれば素晴らしいと、私は思います。