最近ネットショップなどに関心があり、アマゾンについて詳しく知りたいなと思いこの本を購入した。しかし、副題にもあるとおり、この本はあくまでもアマゾンの日本における展開に話の中心がおかれている。また、アマゾンという企業を客観的に分析した本でもなく、著者がアマゾン・ジャパンの中でどんな仕事をどんな気持ちで取り組んだか、という事が書かれている。この本を手に取った本来の目的に合致する内容では無いのだが、非常に興味を持てる内容だった。
 この本の中で特に印象に残った部分が「立ち上げの日」。日本でアマゾンを立ち上げる時のちょっとした事件だが、ベゾス(アマゾンの創始者)や女子社員が高級ホテルでレセプションパーティを開いているのに対して、アメリカからはるか日本に出張して必死にシステムの立ち上げの為に働いてきたメンバがオフィスのキッチンスペースでのささやかなお祝いをする。そのことに腹を立てたメンバが、ホテルに乗り込もうなどと言い出して一悶着が起こるという事件。著者はひがみの一言で片づけてしまっているが、縁の下の力持ちとも言える彼らに対して十分に配慮ができていないトップというのは非常に問題があるのではないかなぁという気がする。組織における「人」についてちょっと考えさせられる部分だった。