小売業を中心として流通業についての今が描かれている。この本を読もうと思ったのは、流通業界についての理解を深めようと言うのが動機だが、業界知識や基礎という意味では満足できる程の内容だったとは思えない。ただ、流通業界の現在についてはいろいろなことを知る事ができた。自分自身が街で見かける小売業が行っているサービスが行われている理由などを知ることもできた。
 流通業界と言えば、数年前からダイエーとイトーヨーカ堂の比較が定番とイメージが強いが、実際にこの本を読んでみるとイオン、ウォルマート、ドン・キホーテ、ファーストリテイリング、ヤマダ電機、ニトリなどのプレーヤの顔ぶれも見える。このようなプレーヤが凌ぎを削る流通業界だが、ここでもやはりキーワードはIT。ところが、ITを駆使したコスト削減がお得意のイトーヨーカ堂の苦戦を見てもわかる通り、それだけでは消費者は寄りつかない。これからの流通業界の鍵は顧客を見ること、そのためにITを駆使すること。この本を読んで見て、そのように感じた。