「Separation きみが還る場所」…この作品は14ヶ月というTVドラマの原作で、テレビで一度だけ見たことがあった。少女になった大人の女性が、母親と話をしているという場面を覚えている。
 この作品の中で、ホテルの客室係の西田茜が言う「この物語の教訓は何ですか?」という台詞。この台詞が妙に印象に残った。この作品はただ純粋に、若返り続ける妻とその夫が一緒にい続けるという話。そこにある意味は愛しかない。単純な話で、そこに飾りや文学的な優秀さは要らないというスタンスが見える台詞だと思う。
「VOICE」…本の帯に「Separation きみが還る場所」の原型ともなった作品と書かれていたので、同じ作品連続で読むのはちょっとしんどいなぁと思って読み始めたが、登場人物の名前が共通なだけで、全く異なる話で少し安心。こちらは逆に一緒に居続けないという、わかるんだけれどももどかしい物語。この2作品を一つの本に収まっているという、類似性と対比が上手い具合にアンバランスな感じがした。