読み終えた時に、「なるほどそれを題名にしたのか」という印象をもった。この物語の主人公の智史、そしてその仲間の花梨、祐司ではなく、智史の父親の台詞を題名に持ってきたのか。この物語は、人と人とを結びつける人を描いている。祐司が花梨と智史を繋ぎ、智史が花梨と祐司を繋ぐ、そして花梨が智史と祐司を繋ぐという結びつき。それ以外の脇役たちも人と人との結びつきに関わっていく。その結びつきを演出する名脇役である智史の父親の台詞を持ってきた当たりに、その世界の広がりを感じさせるなと感じた。
 この小説の物語は心地よく進み読みやすかった。その心地よさは、この物語の多くが思い出で構成されており、また同時にこの物語で思い出の心地よさが語られていることからくるものなのだろうか?