「ずっと、ずっと、あなたのそばに」に続いて早速読んでみた。もちろん、ストーリーは「ずっと、ずっと、あなたのそばに」で読んだとおりだったが、ストーリを知っていても十分楽しめる小説だった。個人的な感想としては、私はこの作品がとても好きだ、幼稚な表現であらわせば「ツボにはまった」という感じ。
 この作品は、主人公「巧」の一人称の視点で描かれており感情移入はしやすい。主人公は29歳男性という設定で、自分と年齢も近いこともあるかもしれない。読み進めながら、巧からの視点で描かれている澪は、できすぎた妻であり、できすぎた母のような印象を持った。作中でも思い出が美化されているというような表現がなされているが。それも理由の一つかもしれないが、巧にとっての澪の存在感の大きさ、だからこそ(澪に)あやまってばかりになってしまうことに納得ができる。巧と澪にとって互いの存在は大きなものなのに、巧から見れば澪の存在だけが大きく感じられるんだね、そんなことを考えながら一気に読み終えた。