ソフトウェア技術者はどうもテストを軽視するように思います。時間が無いという理由でテストをさぼり最終的に非常に品質の悪いソフトウェアができあがることばかりというのが現実です。実際に世間に出回っているソフトウェアの中で、品質悪く動作が不安定なものと聞かれて、誰でもすぐにいくつかのソフトウェアの名前が思い浮かぶと思います。ソフトウェアの品質を確保する際には、適切なユーザニーズの分析・バグの発生しにくいシステム設計などの要素の他に、しっかりとテストを実施するということが重要です。しかし、テストをしっかり行う為にはお金も時間もかかり、またテストをしっかりと行ったことによって得られるメリットが見えにくくお金や時間をかけにくいという問題があります。そこで注目したいのが、お金や時間を掛けにくいフリーソフトウェアの開発で用いられている単体テスト技法です。この本では、そのJUnitを用いた単体テスト技法の具体的な実施方法が示されています。
 私自身、この本に出会う前からJUnitについての知識はありましたが、いまいちJUnitをどのように使用すれば効果的なのかがわかりませんでした。確かにテストを書くことで品質は安定することが考えられますが、テストを書く手間とテストを実施する為の環境を整える為の手間を考えると、単体テスト用の検査項目を作成して、毎回実施するのに比べて本当に効率が良いかどうかが疑問でした。この本ではantを用いてJunitのテストとHTML形式でのレポート表示、それらをバッチで毎日実行して常に単体テストがパスしているか否かを確認できる方法が提案されています。この方法を使用すると、テストファーストでのコーディング及び品質状態の常時確認という意味でテストプログラムを2重の意味で使用できるようになります。私は、テストプログラムを作成する手間以上のメリットを確実に得ることができると考えるようになりました。