実際この本を読んでみようと思ったのは、世界史に関する理解を深めるためだった。とりわけ作者が日本人でない事が、今まで読んできた世界史のテキストとは違った観点から見つめられるような気がして惹かれた。しかし、冒頭の解説によると、この書は思想的な物であるようで僕がこの本を手にした動機とはずれた感がある。なるほど読んでみると、確かに思想的ではある。しかし自分の世界史に理解を深めるという目的には特に問題はないと思う。いろんな思想に触れてみるのもいいことだと思う。それに、客観的な物を求めてそれに安心するよりは、いろいろな思想を自分の中で処理してみてもいいように感じる。
 内容に関しては、上巻は人類の起源から十字軍の頃までだった。高校の時の世界史のテキストのような内容だけど、前述の通り思想的(作者の見方が述べられている)ので、教科書ほど退屈な物ではなかった。やはりというか、ローマに関することが大量に述べられていて、中国に関しては述べられていることは少ない。日本に関しては全くない。日本史との比較がないのは僕のような日本人には理解しにくかった面もある。けど本当に世界史を眺めているという感じは味わえた。ところで、ローマというのはヨーロッパ、ひいては世界に大きな影響を与えた帝国だったのだなぁと言うことを改めて感じた。