ゲーテの小説はウェルテル以来読んだが、あとがきを読んでゲーテの長編小説はウェルテル、親和力、ウィルヘルム・マイステルぐらいしか無いと知った。これからもまだゲーテの著作を読んでいこうと思う。
 ところでこの親和力は化学の用語とその現象からヒントを得て書かれた小説で、本文中にも親和力の説明とその実験が現れる。このような手法は面白く化学的にも惹かれたが、そのような化学的な面が後半は薄らいでいったのは、オッティリエが中心になって話が進んでいく方向になったからだと思われるが、化学的な所を期待したのは裏切られた。しかし情熱的に邁進していったエドアルトとオッティリエの破滅が妙に美しいのは寂しかった。シャルロッテはその時客観的になったわけだが、妙に中心に位置していて大きな苦痛を背負っていたように見える所もまた寂しかった。